日本人口学会第57回大会
大会運営委員長 高橋 眞一
日本人口学会第57回大会のお知らせ
日本人口学会第57回大会を2005年6月4日(土)、6月5日(日)の両日、
神戸大学を開催校として開くことになりました。
会場は神戸大学六甲台本館(第一学舎)です。
大会では、次のようなシンポジウムとテーマセッションを企画しております。
多数のご参加を希望し、ご案内申し上げます。
大会プログラム(日本語版)
Program (English)
シンポジウムとテーマセッションの題目及び内容
シンポジウム
題 目:「“団塊の世代”のゆくえ」
組織者:高橋 眞一(神戸大学)
座 長:高橋 重郷(国立社会保障・人口問題研究所)
趣 旨:
団塊の世代は、いま定年退職期を迎えようとしている。この世代が今後の人生をどのようい歩むかは、少子高齢化社会のゆくえを考える上で重要な観点を与えることになる。シンポジウムでは、議論を深めるために、三つの視点から基調報告を受ける。第一の報告は、経済学的な視点から、今後定年を迎える「団塊の世代」がどのように労働インセンティブを保ち、どのような就業行動をとるのか、さらに彼らの「働くかたち」が日本のマクロ経済や少子高齢化社会にとってどのような意味を持つのかについて御報告を頂く。第二の報告は、家族論の視点から、戦後の家族変動の担い手でもあった「団塊の世代」がどのような家族のかたちを形成してゆくのか、その展望についてご報告を頂く。第三の報告は、1960年代の大量人口移動世代でもあった「団塊の世代」が、高齢期に向かって自らの老後をどのような場所で、どのような移動・居住形態(Iターン、Jターン、Uターンあるいは半定住等)をとりながら歩もうとしているのかについて報告を頂く。
上記報告をもとに、討論者による議論を踏まえ、参加会員による討議を行い、本シンポジウムの課題に接近することにしたい。
報告者:
小塩 隆士(神戸大学) 「働くかたち」
岡村 清子(東京女子大学) 「家族のかたち」
伊藤 薫(岐阜聖徳学園大学)「住まうかたち」
討論者:阿部 隆(日本女子大学)、渡辺真知子(明海大学)
テーマセッション(1)
テーマ:「アジアにおける超低出生率と対応策」
組織者:河野稠果(麗澤大学)
座 長:津谷典子(慶應義塾大学)
討論者:井上俊一(日本大学)、佐藤龍三郎(国立社会保障・人口問題研究所)
趣 旨:
アジア、特に東アジアは、20年前には想像もできなかった超低出生率を経験している。韓国の合計特殊出生率は1.2を下回り、香港は0.93と世界最低の水準である。日本、台湾、シンガポールも置き換え水準を大いに下回り、中国もその水域に達しつつある。アジアのその他の地域でも、予想を超える出生率低下が認められている。このセッションでは、特に最近の東アジアの超低出生率に関して、どのような各国共通の社会経済的要因・背景が介在し、関連しているかの分析と、どのような人口・家族政策が行われているかの状況把握及びそれをめぐる議論を試みたい。アジアにおける低出生率の社会経済的条件・背景の解明を探り、政策的対応を論ずることは、実は日本の少子化とその対策に対して複眼的視点からアプローチを行うことになる。さらに、ヨーロッパで有力視される「第2の人口転換」理論がアジアにおいてもよく適合できるかどうかについて、議論を深めて行きたい。
テーマセッション(2)
テーマ:「パートナーシップの変容」
組織者:安藏伸治(明治大学)
座 長:釜野さおり(国立社会保障・人口問題研究所)
討論者:岩澤美帆(国立社会保障・人口問題研究所)、他1名予定
趣 旨:
1950年代後半から70年代中頃までのわが国は,男女とも生涯未婚率は非常に低く,「皆婚社会」と言われた。また離婚率も低く安定し,婚外子割合は1%前後であった。核家族世帯の割合はその前後の期間と比較すると高く,父親が片働きで家計を支え,母親が専業主婦,子どもが二人という「標準世帯」という概念が形成され,それがそれ以後の家族のステレオタイプとして認知された時代である。この時代に結婚し,家族形成をおこなってきた妻たちの完結出生児数は継続的に2.0を上回っている。
しかしながら,1980年代以降,とりわけ90年代になるとわが国の結婚やパートナーシップの形態に大きな変化が現れるようになった。再生産の中心となる20歳代後半から30歳代前半の女子の未婚率が上昇し,生涯未婚率も急激に上昇した。女子以上に男子の未婚化は進んだ。男子の平均初婚年齢は30歳を超え,生涯未婚率は女子の倍の12%に達するようになった。
婚外子割合は依然と低いことから結婚は出生の前提になってはいるが,結婚期間が妊娠期間より短い結婚の増加は,結婚が性的結合の前提でなったことを意味する。また,結婚しても子どもを持たず無子で通す夫婦も増加してきている。
結婚の必然性の低下,結婚と直結しないパートナーシップの在り方など,パートナーシップの変容に焦点をあてたセッションにしたい。歴史的考察,国際比較,調査データを利用した分析,パートナーシップの今後など,多様な報告を期待する。
テーマセッション(3)
テーマ:「地域からみた人口減少社会」
組織者:石川義孝(京都大学)
座 長:石川義孝(京都大学)
討論者:阿部 隆(日本女子大学)、他1、2名を予定
趣 旨:
日本社会は、過去における出生率の大幅な低下によって、まもなく人口減少社会に突入しようとしている。しかしながら、既往の所説や成果の多くは、直接的にあるいは暗黙のうちに、人口増加を念頭においた議論を展開してきた。人口が増加から減少に転ずる分水嶺にある今こそ、既往の成果の再検討をも踏まえつつ、今後の人口減少社会を明確に視野に入れた研究を本格的に開始すべき時期である。こうした観点から、例えば、わが国の諸地域での事例の報告、諸外国における事例の紹介・論評、地域人口の分析、地域的あるいは空間的視点に基づいた既往のモデル・理論の再検討、さらには、そうした研究を踏まえた政策的含意の提示など、多岐にわたる具体的な研究テーマが設定され得るであろう。本セッションでは、以上の基本的趣旨を踏まえた発表を通じ、地域的あるいは空間的視点に基づいた人口減少社会に関する考察を深めたい。
その他:お問い合わせ先など
大会参加や報告要旨の送付などは、以下にお願いします。
社団法人 エイジング総合研究センター 日本人口学会事務局
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Tel. 03‐3542‐0360 Fax. 03‐3542‐0362