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編集委員長の言葉および推薦の言葉

編集委員長の言葉
中央大学名誉教授
岡田 實
 1957年に出版された「人口大事典」(平凡社刊)は、当時の人口に関する内外の研究成果を集大成した業績で、世界でも例をみない人口のエンサイクロペディアでした。しかしながら、その刊行時より40年余の歳月が経過し、この間、先進国と途上国の人口はそれぞれの質量両面で著しい変貌を遂げ、新たな問題を喚起しています。
 今日、世界人口61億の80%にも達する途上国では、人口爆発と経済・社会開発、食糧、資源、エネルギー問題、さらに経済開発優先に伴う環境問題などに直面しています。いっぽう、日本を含む先進諸国では、資源多消費型の生活のもたらす地球環境への影響とともに、史上未曾有の少子化、高齢化問題、人口減少と経済・社会保障との関係、移民への対応等が人々の強い関心を呼んでいます。
 この新しい「人口大事典」は最近年における斯学の研究成果を十二分に摂取したうえで、現代世界が当面するさまざまな人口問題の系統的理解と適切な行動の指針が見出せるような内容をもり、21世紀を展望する時代の要請に応えることを目標といたしました。本「大事典」が人口学とこれに関連する研究者、教育者、官庁の政策担当者はもとより、数十万の若い学生にも容易に読まれ、親しまれる有益な座右の書であることを願うものであります。
推薦の言葉
元学術会議会長・東京大学名誉教授
近藤 次郎
 現在、世界の人口は61億を越え、毎年9000万以上ずつ増えている。今世紀の早いうちに100億を越えるのは確実である。医学の進歩によって寿命が延び、また、100億の人口を養うに十分な食糧も農業技術の進歩によって確保できる見通しである。しかし、人口は資源やエネルギーさらに温暖化などの環境問題とも密接に関係しており、今後は地球の人口扶養力という面からも考えて行かなくてはならない。
 一方、社会経済面ではグローバリゼーションが進み大勢の人が海外で活躍するようになる。本事典は、経済界にとっても諸外国の人達をいっそう深く理解し周囲とよく適合した行き方を工夫するうえで役立つものと期待する。
東京家政大学教授・高齢社会をよくする女性の会 代表
樋口 恵子
 人口の動向はあらゆる変化の基礎であり社会の過去・現在・未来を映す鏡である。政治・経済予測はもとより短期的天気予報さえよく外れるというのに、人口予測は未来をほとんど正確に照らし出す。
 人口を論ずる視点もまた時代の意識を敏感に反映する。1994年国連のカイロ人口開発会議では、過去四半世紀の世界的女性運動の集積がリプロダクティブ・ライツ/ヘルスという名で確認された。女性自身の人生が人口政策の対象から、参画し決定する主体へ変容したのである。
 今、世界は途上国を含めて、いや途上国を中心に、より激しい高齢化・少子化の予測の中にいる。人口学会50周年に専門家の総力を挙げて著されたこの人口大事典、専門家・関連領域の研究者ばかりでなく行政、教育にかかわる人々、日本と世界の未来を考えるすべての人々にすすめたい。

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First drafted May 25, 2002
Last revised May 26, 2002